第三者意見 (2016年5月期/2016年8月更新の内容に関して)

後藤 敏彦 NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事

後藤 敏彦 NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事

認定NPO法人環境経営学会会長、NPO法人社会的責任投資フォーラム理事・最高顧問、(一社)グリーンファイナンス推進機構理事、(一社)グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン理事、など。
環境省事業//EA21改訂検討作業部委員会委員/環境情報開示基盤整備事業WG座長/環境コミュニケーション大賞審査委員/ Eco-CRIP事業検討会座長/日中韓環境大臣会議会議(TEMM)付設環境産業会議(TREB)団長など複数委員会の座長・委員を務める。ISO/TC207エキスパート。元GRIボードメンバー。東京大学法学部卒。

新しい社会システムと企業の発展

2015年文明の方向性が大きくかわりました。社長の緒言はそれを先取りし方向性を示されています。物質的には無限の成長はなくなったわけですが、「無限のイノベーション」を基盤に発展を考えておられ、時代を先取りされています。
様々な産業が六次産業化する中でニューミドルマンとしてカナメの役割をミッションとされています。物流のイノベーションは当然のこと、生産・消費のイノベーションのコーディネーター役割にも商機を見出しておられます。ECラボの取組が新しい社会システムと企業の発展につながることを大いに期待しています。

「CO2ゼロチャレンジ」、循環型社会の創造への期待

2016年7月に、2030年に「CO2ゼロチャレンジ」を目指すことを発表されましたことは、欧米でいう”Goal”すなわち”Aspiration”(ありたい姿)の表明であり、大変すばらしく敬意を表します。これからロードマップを策定される中で多くのイノベーションを実現されることを期待かつ確信しています。
一方で、CO2以外でもこれから資源制約は大変厳しくなることが予想されています。再生可能資源、循環資源で経済・社会を運営していかなければならない時代が目前に迫ってきました。紙だけでなく多くの製品でリユース・リサイクル資源での製造・流通・使用も待ったなしの時代が来ると考えていますが、「社会課題をイノベーションで解決する」に期待するところ大です。

社会課題に対して、経営と一体化した、戦略的な取り組みを

事業内容から考え木材(紙)製品の扱いには大いなる配慮が求められています。PB製品への認証資材の利用など2002年頃から様々な配慮をされていますが、すべての輸入木材製品へのNGO等からの監視が厳しさを増しています。日本では2016年に違法伐採木材製品輸入に関する法律が制定されましたが、欧米諸国に比べデュー・ディリジェンス(D.D.)を義務としていない点で見劣りがしています。国際NGOが最も重視している分野の一つでもあり、製紙業界等ともタイアップされ自主的なD.D.プロセスの開発の検討も期待します。
 CSRサイトでは他分野に比べ比較的個人の写真が多く出ていますが、生の声としてもう少し多くてもよいと思います。
ISO14001と27001に取り組まれていますが、特にEMSが経営システムとの一体化されているのかが見えにくいと感じました。14001の2015年改訂版はCSRやサプライチェーン・マネジメントとの親和性も高く、経営システムと一体化し体質強化のためのツールとして使われると良いと思います。
東日本復興支援など様々な息長い社会貢献をされており高く評価しますが、蛇足ながら戦略的社会貢献ということを考えるのも必要と考えます。

機関投資家向けの開示なども意識を

報告書はWEB上で開示されており、そのこと自体は問題ないですが、全体に文章が長すぎると感じます。丁寧な説明はよいですが、ページ制約がないためと思いますがやはり全体設計(編集)に工夫を期待します。また、情報へのアクセスに少し難があると感じました。日本でも年金基金(GPIF)の国連責任投資原則署名を機にESG投資が脚光を浴びだしました。環境省が進めるESG情報の開示基盤整備事業でも、事業者と機関投資家の開示認識度にはギャップがあり、ポイントの一つは検索がむつかしいことにあるようです。ICTリテラシーにギャップのある現時点では総合案内的なホームが最初に必要です。今般改訂のサイトマップがその役割を果たすものと思いますが、経営企画・IR情報等などとのリンクを張り機関投資家向けにもわかりやすくするともっと良いと思います。

第三者意見を受けて

「アスクル環境・社会活動報告」について、貴重なご意見を賜りありがとうございました。
2015年は、「COP21・パリ協定」の採択、国連による「持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)」の採択、ガバナンスコードの適用など、企業のサステナビリティ(持続可能性)を考える上で、一つの大きな転換点となりました。
弊社も、2016年7月に環境フォーラムを開催し、「2030年にCO2ゼロにチャレンジする」ことを発表しました。
その実現に向けて、自社の活動の推進はもちろん、新しいテクノロジーやオープンなプラットフォームを通じたお客様やお取引様との「共創」により、脱炭素社会の実現に向けた取組みをスタートさせています。
環境・CSR全般の活動の強化をはかるとともに、ステークホルダーの皆様にわかりやすく積極的な情報の開示を実施していきたいと考えております。
これからも事業活動を通じて、環境・社会のさまざまな課題の解決に取り組んでまいります。

アスクル株式会社
CSR総務統括部長
環境管理責任者 亀井 一行