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更新日:2025年1月30日

脱炭素とは?カーボンニュートラルとの違いや脱炭素社会への取り組みも紹介

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社会全体で脱炭素が推進される中で、何をすればよいか悩む方も多いと思います。この記事では、脱炭素の概要やカーボンニュートラルとの違いをはじめ、脱炭素社会で重要なキーワードや脱炭素を目指す理由・取り組みなどを解説します。脱炭素社会へ向け、どんな取り組みをすべきか検討している方は、ぜひ役立ててください。

脱炭素とは?

近年、地球温暖化により、世界規模で深刻な問題が起こるようになりました。異常気象や生態系の変化は自然災害につながり、人々の健康や生活を脅かすうえ、食糧生産にも大きな影響を与えます。その対策として、温室効果ガスを削減して脱炭素を進める必要性が高まりました。

脱炭素とは二酸化炭素の排出量をゼロにするための取り組みですが、人間が生活し、企業が活動する以上、完全にゼロにすることは困難です。現在は、排出量を削減すること、また排出された二酸化炭素を森林や技術を利用して吸収・除去させ、排出量と吸収量のバランスを取ることに取り組んでいます。脱炭素によって温暖化を抑制できれば、環境や人体への影響を最小限に抑えられるはずです。

カーボンニュートラルとは?

カーボンニュートラルとは二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、排出を全体としてゼロにすることです。排出された温室効果ガスをさまざまな方法で吸収・除去し、相殺することを目指しています。

吸収・除去は自然になされるものではなく、国や自治体、企業としての取り組みが必要です。カーボンニュートラルの実現のためには、排出量の削減に加えて吸収作用の保全・強化をしなければなりません。

脱炭素とカーボンニュートラルの違い

脱炭素とカーボンニュートラルは「地球温暖化を進行させない」と、広義の目的が同じため、混同される場合があります。

カーボンニュートラルが二酸化炭素をはじめとするフロンガスなどの温室効果ガスを対象にしているのに対し、脱炭素は特に二酸化炭素の削減を重視しているのが相違点です。上述の通り、脱炭素は二酸化炭素の排出量を削減してゼロにすること、カーボンニュートラルは温室効果ガス全体の排出量と吸収・除去量を、プラスマイナスでゼロにすることを目指します。

脱炭素社会を目指す理由

脱炭素社会とは、従来の二酸化炭素排出型の生活から脱却するという意味であり、さまざまな国が脱炭素社会を目指しています。ここからは、環境問題や化学燃料の枯渇問題など、脱炭素社会を目指す理由や国や企業の取り組みについて解説します。

地球温暖化の抑止

産業革命以降、石炭や石油などの化石燃料を大量消費するようになりました。温室効果の原因となる二酸化炭素の排出量は急激に増加し、地球温暖化が進んでいます。地球温暖化は海面上昇や洪水、酸性化や干ばつ、森林火災など、さまざまな問題を引き起こします。猛暑や豪雨が多発して農作物が収穫できなくなり、世界規模で食糧が不足するかもしれません。高潮により海水が生活エリアに入れば、水を飲めなくなる恐れもあります。

地球温暖化は、農業や経済活動、自然環境の変化など多方面への影響を及ぼします。深刻化を防ぐには温室効果ガスの排出を抑える世界規模の取り組みが必要です。

化石燃料の資源枯渇への対処

人々の経済活動や産業を支えるには、大量のエネルギーが必要です。しかし石炭や石油、天然ガスなどの資源は有限であり、枯渇する可能性があります。資源エネルギー庁の「エネルギー白書2024」によれば、石油の可採年数(その資源が何年間現在の生産が可能かを示した数値)は2020年末時点で53.5年、天然ガスは48.8年、石炭は139年です。

有限のうえ環境への影響も懸念され、二酸化炭素を排出しないエネルギー源の活用が期待されます。特に、太陽光や風力など再生可能エネルギーは、グリーン水素の製造に有効であり世界的に注目されています。化石燃料からの脱却に貢献しますが、コスト面などの課題解決が必要です。

参照:資源エネルギー庁「令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)」第2章 国際エネルギー動向 第2節 一次エネルギーの動向

パリ協定による国際的枠組み

2015年にはパリで国際会議が開催され、温室効果ガスの削減への取り組みに世界各国が合意しました。パリ協定では、産業革命前と比較して世界的な平均気温上昇を2℃より低く1.5℃以内に抑えることや、21世紀後半には温室効果ガスの排出量と除去量の均衡を実現することなどを長期目標に掲げています。

カーボンニュートラルの概念を世界中に広めたきっかけはパリ協定で、合意した各国は2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標としています。

2050年という期限が設けられた理由は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告によるものです。IPCCは、地球温暖化を抑えるにはこの時期までのカーボンニュートラルの実現が必要だと述べています。実現できない場合は、気温上昇により居住困難な場所が増えると懸念されています。

企業価値の向上

脱炭素に取り組む企業も増えました。ESG投資の考え方の広がりが背景にあります。ESG投資とは「Environment」「Social」「Governance」に配慮した適切な事業を行う企業への投資です。積極的に環境問題を解決しようとする企業には持続可能性や成長が期待できるため、投資することで十分なリターンが期待できます。

脱炭素経営によって差別化を図ることで企業価値を高め、市場での優位性を確保できます。脱炭素に関連する技術・サービスを提供することで企業イメージが向上し、資金調達や販路拡大につなげられるかもしれません。アスクルでも、脱炭素の取り組みを進めています。詳細を知りたい方は、下記をご覧ください。

<参考>

ASKUL「アスクル サステナビリティ報告(環境・社会活動報告)

脱炭素社会に向けた取り組み

日本では、2021年に地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)の一部が改正されました。2050年までの脱炭素社会の実現を理念に掲げ、地球温暖化対策計画をはじめ、さまざまな制度を設けています。温室効果ガスの排出削減に取り組む企業は支援を受けられるなど、多くの取り組みが進められています。

再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーとは、枯渇せずに永続的に利用できるエネルギー源のことです。太陽光・太陽熱や地熱、風力、水力やバイオマスなどが定められています。自然のエネルギーを利用するため、化石燃料と異なり発電時に温室効果ガスを排出しません。比較的短期間で再生でき、国内で供給可能です。

資源エネルギー庁の資料によれば、日本のエネルギー自給率は2022年度で12.6%、2023年度時点で15.2%とまだ低い数値です。また、化石エネルギー依存度は2023年時点で80%程度と高くなっています。

世界では発電時の二酸化炭素排出量は増加しており、脱炭素社会実現のためには再生可能エネルギーの導入が必要です。長期的に安定した供給を確保するには、コストや場所、効率など多くの課題を解決しなければなりません。

参照:資源エネルギー庁「2022年度エネルギー需給実績(確報)参考資料」6ページ

参照:資源エネルギー庁「2023年度エネルギー需給実績(速報)参考資料」6ページ

アスクルの取り組み

アスクルは二酸化炭素削減のため、「2030年までにグループ全体(子会社含む)での再生エネルギー利用率を100%にする」ことを中間目標として、「2025年までに本社および物流センターでの再生エネルギー利用率を100%にする」ことを掲げました。

2023年5月期末時点で、本社と8か所の物流センターの再生エネルギーへの切り替えと、グループ全体での再生可能エネルギー利用率63.3%を達成しています。2030年までにすべての事業所や物流センターで再生可能エネルギーを導入する予定です。

<参考>

ASKUL「アスクル サステナビリティ報告(環境・社会活動報告)

カーボンプライシングの導入

カーボンプライシングは企業などが排出する炭素(カーボン)に課税する制度です。代表的なのは企業が排出した二酸化炭素に課税する「炭素税」や企業ごとに排出量を設定して排出枠を売買できる「排出量取引」などです。上限を超えた企業は超えていない企業から排出枠を購入することで、総排出量を抑えられます。

さらに、エネルギー量に応じて段階的に課税される「エネルギー課税」や二酸化炭素削減価値を証書化して取引する「クレジット取引」があります。

電気自動車の導入

電気自動車はEV(Electric Vehicle)とも呼ばれ、電気をエネルギー源として動く車です。エンジンの代わりに搭載されたモーターを電気で駆動させて走行します。

従来のガソリン車と比べ、電気自動車は走行時の二酸化炭素排出量の大幅な削減が可能です。脱炭素社会の実現に寄与することが期待されており、国としても電気自動車の普及を促進しています。

製造・廃棄時以外の二酸化炭素排出量が少なく、エネルギー効率に優れた電気自動車は、企業でも社用車として導入されるようになりました。

アスクルの取り組み

アスクルは電気自動車の導入に取り組んでいます。「EV100」に加盟し、2030年までに配送車両を100%EV化する目標を掲げました。2016年以降電気自動車を導入し続け、2020年8月には配送拠点の電力を再生可能エネルギーに切り替えています。

充電から走行時までの二酸化炭素排出量ゼロと、騒音や振動が少ない電気自動車の活用によるドライバーへの負担軽減を実現しました。

<参考>

ASKUL「ASKUL Report 2024

ASKUL「アスクル サステナビリティ報告(環境・社会活動報告)

脱炭素社会で重要なキーワード

SDGsやエネルギーミックス、ゼロエミッションなどの用語をよく耳にするようになりました。以下に解説するキーワードから、脱炭素社会への理解を深めましょう。

SDGs

SDGsは「Sustainable Development Goals」の略称であり、2030年までに達成すべき「持続可能な開発目標」です。2015年9月に国連サミットが開催され、SDGsが採択されました。17の具体的な目標のうち、特に脱炭素と関連する目標は、指針7の「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や指針13の「気候変動に具体的な対策を」です。それぞれ再生エネルギーの割合を増やし気候変動や自然災害への対策を求めるものです。SDGsは発展途上国、先進国を問わず達成すべき目標であり、日本でも取り組まれています。

エネルギーミックス

エネルギーミックスとは、さまざまな発電方法を組み合わせて社会全体に電気を供給することです。資源エネルギー庁によれば、日本の発電は主に火力発電であり、2021年度では化石燃料(石炭・石油や天然ガスなど)が全体の70%を占めていました。再生可能エネルギーは約20%、原子力は7%未満です。ひとつのエネルギー源に依存することは危険であり、複数の発電方法の確保が重要です。

日本では再生エネルギー比率を大幅に増やすという目標を掲げ、脱炭素の実現に向け戦略を練っています。

参照:資源エネルギー庁「日本のエネルギー 2023年度版『エネルギーの今を知る10の質問』

ゼロエミッション

ゼロエミッションは「人間の活動から発生する廃棄物の排出(エミッション)をできる限りゼロにする」ための取り組みです。脱炭素社会の実現を目指した取り組みのひとつであり、環境に与える負荷を最小限に抑えようとするものです。廃棄物を再利用し廃棄物が出にくい商品にする、エコタウンなど国や自治体、企業がさまざまな取り組みをしています。

まとめ

地球温暖化の抑止や資源枯渇への対策として、二酸化炭素の排出量をゼロにする脱炭素が重要です。企業が再生可能エネルギーやカーボンプライシングの導入、電気自動車を社用車に取り組んでおり、今後も継続や発展が期待できます。

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