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更新日:2025年1月30日

三角巾の巻き方は?骨折時の固定方法や腕・頭など部位別の付け方

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三角巾は、傷の応急処置や骨折した患部の固定だけでなく、包帯やマスクの代用として使用することも可能です。本記事では、三角巾の活用法を詳しく知りたいという方に向けて、三角巾の基本的な使い方と処置を行う前の注意点、部位別の正しい巻き方を紹介します。

三角巾の基本と準備

三角巾とは、けがの応急処置に使用する直角二等辺三角形の布です。正方形の布を対角線から2つに折りたたんでから使用するタイプもあります。具体的な用途は、傷口が空気に触れないよう細菌の侵入を防止するための「保護」、止血や浮腫を防ぐための「圧迫」、骨折や捻挫した部位を安静に保つための「固定」です。

三角巾の使用法は、患部を広く覆うだけではありません。傷の状態や大きさに合わせ、小さく折りたんでから使用する方法もあります。頭から足まで体のさまざまな部位に使用でき、収納もかさばらないため、緊急時のためにいくつか用意しておくことをおすすめします。

三角巾の基本的な使い方

三角巾の多くは、綿やガーゼといった通気性のよい柔らかい素材で作られています。一般的には、肩を脱臼したとき腕を骨折した際に、腕を吊るすスリングとして使用しますが、傷口の保護や出血を抑える際にも役立つアイテムです。

三角巾には、以下のような名称があります。

  • 頂点:直角三角形の山になった頂上の部分
  • 基底:下の1番長い辺
  • 端:基底の両端
  • 辺:端と頂点を結ぶ辺
  • 全巾:三角巾を広げた状態

なお、全巾の基底中央と頂点を結ぶ線で2つ折りにしたり切ったりしたものは「半巾」といい、小範囲の傷口を保護するときに使用します。三角巾の基底は、1mほどの長さがあります。

また、緊急時には、以下のような場面で三角巾が役立ちます。

  • 肩の脱臼や腕の骨折した際の応急処置
  • 傷口を圧迫して出血を抑える
  • 包帯の代用として使用
  • 頭部の傷口を覆う

まずマスターしておきたい巻き方は、基本的な固定法の「本結び」です。巻き方の手順は以下の通りです。

  1. 三角巾の右端(以下A)の下に左端(以下B)を重ねる。
  2. BをAの内側から下に通し、外側に出す。
  3. Aの下にBを重ねて、AをBの上外側から下に通す。
  4. A、Bの両端を引いてしっかり締める。

三角巾を結んだり解いたりする際に、傷病者への負担を可能な限り軽減し、痛みを感じさせないように配慮しましょう。

三角巾を巻く前の準備ポイント

応急処置を行う際は、手や道具を清潔に保ち、感染リスクを減らすことも意識しなければなりません。患部や血液に直接触れないよう、ビニールまたはゴム手袋で手を覆ってから処置を始めましょう。緊急時には、手袋が用意できないことも考えられます。その際は、レジ袋などで代用するのもひとつの方法です。

傷口は、早急に水道水などのきれいな水で十分に洗い流しましょう。その後、清潔な布やガーゼを当てて、上から三角巾を巻きます。三角巾が地面や衣服に接触して汚染されないよう、手に持ったままの状態で三角巾を折りたたむ方法も覚えておきましょう。

手順は以下の通りです。

  1. 右手で基底中央、左手で頂点を持つ。
  2. 両手とも親指を外に出し、ほかの4指を三角巾の中に入れて半巾を作る。
  3. 右手の頂点側を手前に折り、右手と左手が重なるようにして左の親指で頂点を押さえる。
  4. 手前の1枚目と2枚目の間に右手を入れ、折り目の頂点となる部分を持つ。
  5. 4で右手に持った頂点を手前に引くようにして開き、三角巾の内側を外側へひっくり返すと2つ折りたたみ三角巾になる。
  6. 同様に基底側へ半分折り返すと4つ折りたたみ三角巾ができる。
  7. さらに半分折り返すと8つ折りたたみ三角巾になる。

なお、傷を覆う際は、三角巾が適切な大きさかどうか使用する前に確認しましょう。また、三角巾の結び目が傷口と重ならないようにすることも大切です。結び目により締め付けや擦れが生じないよう、確認しながら処置を行います。

【部位別】三角巾の正しい巻き方ガイド

三角巾は、目的や状態によって使い方が異なります。スリングにする際は、患部を安定した位置で保持することや、固定が長時間におよんでも負担がかからないよう意識することが重要です。三角巾は、状態や目的によって適切な形状や巻き方が変わるため、ケースごとに適した処置法を覚えておきましょう。

肩や腕に巻く方法

肩や腕を固定する際の巻き方と手順は以下の通りです。

  1. 三角巾の一端を負傷していない方の肩にかけ、頂点が負傷した腕側に、基底部が体と平行になる位置で固定します。頂点には肘、基底中央には吊る側の手首がくるように腕を置きましょう。
  2. 三角巾の下側の端を負傷した側の肩にかけ、両端を首の後ろで結びます。
  3. 三角巾が2枚あるときは、もう1枚で腕を胴体に固定するとより安定を確保できます。
  4. 血行の状態を確認できるよう、指先は少し出しておきましょう。

肘の位置にある三角巾の頂点は、腕の長さに合わせて結んでから布の内側に入れ、腕がずれないようにします。また、首の後ろの結び目を真後ろから多少ずらしておくと、擦れて痛くなりません。さらに、間にタオルなどを挟んでおくと、より首の負担を軽減できます。

骨折の疑いがある場合の固定法は、以下の通りです。

  1. 患部はできる限り動かさないよう、可能であれば協力者や本人に支えてもらいます。
  2. 腫れがある場合は、氷や冷湿布などで患部を冷やしてから処置を始めるようにしましょう。
  3. 骨折した部分が動かないよう、上下から添え木などを当てて三角巾で固定します。

なお、骨が変形している場合は、そのままの状態を保つように固定するようにしてください。添え木は、しっかりと固定することでその役割を果たすため、長さや強度があるものを使用するようにしましょう。身近なものでは、棒や板、傘、段ボール、新聞紙、雑誌などが添え木の代用になります。添え木と固定部の間に隙間が生じる場合は、タオルなどクッション性のあるものを挟むと安定します。

頭部に巻く方法

三角巾を活用すれば、頭部の出血や切り傷を素早く保護できます。頭に巻いた三角巾がずれないコツも覚えておくと安心です。

頭部全体に三角巾を巻く手順は以下の通りです。

  1. 三角巾の基底を5cmほど折り返し、折った方を外側にして眉の上に当てます。
  2. 傷を清潔なガーゼで覆います。三角巾全体で頭部を包み、頂点は後頭部へ垂らしましょう。
  3. 両端を後頭部の丸みの下で交差させて額側へと持っていきます。
  4. 前頭部で結べば完了です。

このとき、後ろに余った頂点部分を小さく折りたたみ、交差した布の間に入れ込んでおくことで三角巾のずれを防げます。

次に、頭部の出血や切り傷を保護するときの巻き方を紹介します。

額の傷の場合

  1. 8つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 額の傷口には三角巾の中央から10cmほどずらした部分を当ててください。
  3. 両端を後頭部の丸みの下で交差させ、額側へと持っていきます。
  4. 額の脇(傷と被らない位置)で結びます。

頭頂部の傷の場合

  1. 額の傷と同様に8つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 頭頂部の傷口には、三角巾の中央から10cmほどずらした部分を当てるようにしましょう。
  3. 長い方の端を頬に沿わせながら反対側へと回し、両端を頭の横で交差させます。
  4. 一方の端を額側から、もう一方は後頭部側から反対の頭の横へと回し、両端を結びます。

この方法は、頭頂部の傷だけでなく、頬や顎を圧迫・固定する際にも適した巻き方です。最初に傷口からずらした位置に結び目ができる三角巾中央を当てているため、結び目と傷口が重ならず、患部に負担がかかりません。

肘・前腕に巻く方法

患部が悪化しないよう、肘や前腕を固定したいときの巻き方も紹介します。応急処置で三角巾を巻く際は、圧迫を避けた結び方や適切な締め加減を理解することが大切です。また、患部に三角巾がフィットしていることや、長時間保持するための工夫も覚えておきましょう。

処置の手順は、以下の通りです。

  1. 8つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 三角巾の中央が肘の内側にくるように当て、両端を肘の後ろで交差させましょう。
  3. 交差させた三角巾の下側の端を上に、上側の端を下へと回します。肘を包んでいる三角巾の上下の縁を押さえながら、それぞれ一巻きします。
  4. 両端を肘の外側で結んだら完了です。

前腕部

  1. 三角巾の一方の端を負傷していない方の肩にかけ、頂点が負傷した腕側に、基底部が体と平行になる位置で固定します。頂点に肘、基底中央に吊る方の手首がくるように腕を置きます。
  2. 三角巾の下側の端を負傷した方の肩にかけ、両端を首の後ろで結んでください。
  3. 8つ折りたたみ三角巾を用いて、患部を避けながら肘に近い部分を胴体と固定しましょう。
  4. 指先は血行が確認できるよう、少し出しておきます。

自身で三角巾を巻く方法も覚えておくと安心です。手順は以下の通りです。

  1. 三角巾の両端を結んで輪を作ります。
  2. 固定する腕の肘側に頂点の部分がくるようにして腕を通しましょう。
  3. 前の布が負傷した腕側の肩にくることを確認し、三角巾を被ります。

布を肩にかけると、首にかかる腕の重さが分散されるため、長時間でも疲れにくくなります。また、可能であれば、肘にある三角巾の頂点を結ぶと腕がずれません。

前腕部の出血や切り傷を保護する巻き方もあります。巻き方の手順は以下の通りです。

  1. 8つ折りのたたみ三角巾を作りましょう。
  2. 全体の長さの1/3部分を傷口に対して斜めに当てます。
  3. 肘側の三角巾を押さえながら、手首側の端を肘に向かって巻き上げます。
  4. 結び目と傷口に重ならない位置で両端を結べば完了です。

巻き上げた三角巾が開いて皮膚が見えたり布が緩んだりしないように、先に巻いた布に1/2~1/3ずつ重ねるよう意識しましょう。

膝・足首に巻く方法

膝や足首といった関節部分のけがの応急処置は、安定性を保つ巻き方が求められます。包帯で患部の動きを制限し、関節部分にしっかりフィットさせることが大切です。移動中に三角巾が緩まない結び方や、巻き方のポイントを押さえておきましょう。

三角巾を使用した膝や足首の固定法は、以下の通りです。

  1. 4つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 三角巾の中央が膝の内側にくるように当て、両端を膝の後ろで交差させましょう。
  3. 交差した三角巾の下側の端を上に、上側の端を下へと回します。このとき、膝を包んでいる三角巾の上下の縁を押さえながら、それぞれ一巻きさせるのがポイントです。
  4. 両端を膝の外側で結びます。

足首

  1. 8つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 三角巾の中央を足裏に当て、足首の後ろで両端を交差させてください。
  3. 三角巾の両端を後ろと同じく前で交差させ、側面の三角巾の内側に通します。
  4. 足首の前で両端が解けないように結びましょう。

これらの巻き方は、骨折や捻挫をしている場合に有効な応急処置法です。靴は添え木の代わりになるため、履いたままの状態で靴の上から固定してください。なお、足首の傷を処置する場合は、以下のような手順で巻きます。

足首の切り傷を保護する巻き方

  1. 8つ折りたたみ三角巾を作ります。
  2. 三角巾の中央を足裏に当て、両端を足の甲で交差させましょう。
  3. 足首の後ろに三角巾の両端を回して交差させ、傷口と重ならないように注意して足首の前で結びます。

結び目から余った部分は、足首の三角巾の隙間に小さく折りたたんで入れ込んでおくと、緩みの防止につながります。けがの悪化を防ぐため、移動時の安全性に配慮することも重要です。

三角巾を使う際の注意事項

適切な応急処置は、けがの悪化を防止や痛みの軽減、予後をよくするなどの効果が期待できます。処置を行う際は、注意すべきポイントをしっかりと意識することが大切です。三角巾を強く巻き過ぎてしまうと、巻いた部分の血行が悪くなってしまう恐れがあります。手や足の指先は覆わないようにして、腫れや皮膚の変化などに注目しましょう。

反対に締め付け具合が緩いと三角巾がずれてしまい、目的を達成できなくなります。定期的に三角巾を巻く練習を重ね、適切な締め加減を知ることが大切です。また、応急処置を行う前は、患部をよく観察することも忘れてはなりません。その上で、症状に適した三角巾の折りたたみ方や巻き方を考慮するようにしましょう。

症状によっては無理に三角巾を巻かず、医療機関へ速やかに連絡した方が望ましい場合もあります。例えば、三角巾では覆いきれないほどの広範囲な熱傷で、水ぶくれやただれができている場合や皮膚が壊死したり白く変色したりしていることが確認できた場合、速やかに医療機関で診察を受ける必要があります。

また、応急処置を行うべきか判断に迷った際も、医療機関に連絡を入れて判断を委ねることが大切です。基本的に、傷病者は移動させず、その場で処置を行います。ただし、安全が確保できない場合は、直ちに安全な場所へ避難してから応急処置を行うようにしましょう。応急処置は、症状を今以上に悪化させないことが最大の目的です。

傷病者に与える苦痛を最小限に抑えることを心がけ、元気づけたり励ましの声をかけたりしながら処置に当たりましょう。どのような症状であっても、応急処置が済んだら終わりではありません。経過を注意深く観察したり、状況に応じて医療機関を受診したりすることが大切です。

まとめ

安全対策の一環として、三角巾を使った応急処置のスキルを身につけておくことは非常に有用です。アスクルでは、三角巾や消毒液など、応急処置に必要なものが全てセットになった救急箱を取り扱っています。救急箱の購入に迷ったら、ぜひアスクルをご利用ください。

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